ナンダカナガハマアタラシイ〜長浜でチャレンジする人へインタビュー〜

インタビュー

ライダーハウス 日本何周 乾文久さん
  • 2021.02.10
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地域を楽しく!ライダーハウスから始まるストーリー

ライダーハウス 日本何周 乾文久さん

ライダーハウス「日本何周」の壁には、大きな「ライダー」の文字と、ここに集った人の寄せ書きがいっぱい。なんだかライダーたちの笑い声が聞こえてきそうな楽しい気分になる。

ライダーハウス「日本何周」
ライダーハウス「日本何周」

兵庫県から滋賀県高島市に、そして3年前に長浜市西浅井町に移住。ライダーハウス「日本何周」をオープンした乾文久さんをご紹介します。

【きっかけ】
友人のバイク事故が、生き方を考えるきっかけに

ライダーハウス「日本何周」 乾文久さん
ライダーハウス「日本何周」 乾文久さん

16歳でバイク免許を取得し、それからずっと筋金入りのバイク好き。身軽で自由なバイク旅を楽しんでいました。

26歳のとき、友人がバイク事故で亡くなりました。それは、とても悲しく、そして衝撃的な出来事でした。自分の人生だって、いつどうなるか分からない。だから今、やりたいことをやらなくては。このことが自分のこれからの生き方を考えるきっかけになりました。

今まで時間的制限のなかで出来なかった、バイクで日本一周をしてみようと思ったのは、ちょうどそんなとき。北海道、本州、四国、九州、沖縄。日本各地をバイクで巡り、日本地図にバイクで辿った道を書き入れていきました。今では全県全市を制覇。たぶん日本5周ぐらいしています。

北海道を旅する際に立ち寄ったオンネトー
北海道を旅の途中に立ち寄ったオンネトー

バイクで旅をする途中に、よく利用していたのが各地のライダーハウス。安価で泊まれるライダーハウスは長期間に及ぶバイク旅にはありがたい存在。ほとんどのライダーハウスでは、寝袋持参で雑魚寝が基本。利用者同士の距離が近いことに加え、皆同じライダー。

自然と話し出して、バイクや自転車や旅の話で盛り上がったり、情報交換したりと、偶然知り合った人たちとの交流が楽しめます。

それに何より、ライダーハウスの面白さは、オーナーの個性が色濃く反映されていること。特に北海道のライダーハウスは個性的で面白い。いつしか自分もこんなライダーハウスをやりたいと思うようになりました。

ライダーハウス「日本何周」 乾文久さん

当初のライダーハウスの候補地は、宮崎、高知、和歌山と海に近いところ。移住の相談をしながら検討をすすめていましたが、なかなかコレといった物件には当たらずにいました。

滋賀が候補地になったのは、ブラックバス釣りがきっかけです。ボートやカヌーに乗って釣り糸を垂らしながら琵琶湖に浮かんでいると、琵琶湖の穏やかさ、緑豊かな山々といった滋賀の自然に惹かれるように。

また滋賀には海はないけれど、自然を楽しむアクティビティが豊富です。ビワイチといったサイクリングに、カヌーに、山歩きも。ライダーハウスの利用者として、バイカーだけでなく他の需要もあるだろうと思いました。

滋賀の豊かな自然に惹かれた
滋賀の豊かな自然に惹かれた(写真提供:日本何周)

そして、滋賀で移住相談やイベントに参加し、縁があって高島市に移住。高島市に住みながら、ライダーハウスの物件探しをスタートしました。しかしなかなか理想の物件を見つけられず。見つかって、大家さんとの交渉が進んでも、ライダーハウスをするというと、自治会からの反対が。契約ができないといったことが何度かありました。

そんなとき、西浅井町で行われたイベントに参加し、地域を元気にする活動を行うグループ「ONE SLASH」のメンバーと仲良くなりました。事情を話すと、西浅井町に空き家がたくさんあることを教えてくれ、紹介してもらえることに。

10軒ほどの空き家を一緒にまわり、その中の1軒に決めました。少し歩けば琵琶湖という立地に、築年数は経っているけれど、リフォームの必要がなく、そのまますぐに住めることが決め手。地元の人からの紹介とあって、持ち主との交渉もスムーズに進みました。

琵琶湖最北端のライダーハウス
琵琶湖最北端のライダーハウスが誕生した。

西浅井町に住むにあたっては、まずは馴染むことが大切。ライダーハウスはそれからと思っていました。少し時間も必要だと考えていましたが、近所のみなさんにライダーハウスの計画を話すと、「やったらいいよ」との声。この地域は若者が減り、何軒かあった商店も閉まってしまい寂しい状況。何か新しいことを始めたいという若者のチャレンジを喜んで受け入れてくれました。

地域のみなさんが応援してくれたら、あとは進むだけ。西浅井町に移住して、短期間でライダーハウス「日本何周」をスタートすることができました。定員は15人。1階は男性用、2階は女性用のお部屋です。

ハウス内のテーマは昭和レトロ

ハウス内のテーマは昭和レトロ。壁には昭和の旅行土産の定番「ペナント」や「通行手形」を。最近「賤ヶ岳」のペナントも仲間入りしました。

ダイニングテーブルは学校から貰った学習机を6台くっつけて使用中。移動も楽だし、形も変えられてとても便利。手を加えず使っている台所のビニール床も昭和レトロな雰囲気を醸し出してくれる重要なアイテムの一つ。とても気に入っています。

【現在の状況】
人の想いや体験に少しでも関われると嬉しい

もともとライダーハウスは仕事というより趣味の延長線。バタバタと忙しいよりも、徐々に徐々に自分のペースでやっていきたいと思っています。情報発信はあまり積極的とは言えないけれどSNSで。それでもSNSやクチコミで初年度から利用者が来てくれました。

オートバイはもちろん、サイクリスト、そして電車利用の旅行者まで。2020年は残念ながら新型コロナウイルスの影響で利用者が減少しましたが、定員を少なくし、個室を増やすなどして対応していく予定です。

ライダーハウス「日本何周」 乾文久さん

日本一周をするライダーは、海沿いを走るのが定番。この場所はそのコースからは外れていますが、ネット情報でここを見つけて、立ち寄ってくれるライダーもいます。

そして次の日はビワイチや長浜も観光していく。そのライダーにとってはたまたま立ち寄ったライダーハウスだけれど、それが面白い思い出になったり、新しい発見に繋がったりしていく。そういった偶然から生まれていく想いや体験に少しでも関わることができたと感じると嬉しくなります。

【今後のビジョン】
いいモノを無くすのではなく、受け継いでいく

ライダーハウスのある近辺は、コンビニも遠く、車で行くのが普通です。フラッと立ち寄れる商店は近所にありません。今、日は限定でも、ライダーハウスでパンなどを販売することができないかと考えています。

パン屋をやってみたいという人にこの場所を提供できれば、近所の人に立ち寄ってもらえたり、新しい人の流れができたり、そんな交流ができたらときっと楽しいはず。計画進行中です。

カヌー体験の機会を増やしていく
カヌー体験の機会を増やしていく(写真提供:日本何周)

また、以前、菅浦の国民宿舎でカヌーアクティビティを担当していました。地元の中学生の課外授業や県外からもお客様が来て、カヌー体験は人気だったのですが、国民宿舎の閉館に伴い終了してしまいました。

菅浦は琵琶湖の北端に位置して、その立地や独自の歴史から西浅井町の中でも特別な場所。琵琶湖の美しさも格別で、カヌーで竹生島にも行くことができます。

菅浦の琵琶湖の美しさは格別
菅浦の琵琶湖の美しさは格別

今は希望があればできる範囲でカヌーガイドもしていますが、これからもう少し多くの人にカヌー体験をしてもらえるような形を考えていきます。

カヌー以外にも、地域で親しまれていたお菓子屋さんが、高齢を理由にお店を畳むなど、長浜のいいモノが少しずつ無くなっています。

長浜のいいモノが無くなっていくのは寂しい。いいモノを無くすのではなく、受け継ぐことができないか。その想いを共感できる仲間もいる。

ライダーハウス「日本何周」 乾文久さん

みんなと一緒にその方法を考え、そして実行できれば、きっと地域はもっと楽しくなる。そんな想いでこれからも楽しみながら進んでいきたいですね。

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社名 / 屋号 ライダーハウス 日本何周
住所 滋賀県長浜市西浅井町大浦881
連絡先 TEL:090-4299-7001
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