ナンダカナガハマアタラシイ〜長浜でチャレンジする人へインタビュー〜

インタビュー

ミヤベアグリックファーム 宮部広成さん
  • 2020.10.13
  • 農業・ものづくり

「金太郎キュウリ」のブランド化を目指して

ミヤベアグリックファーム 宮部広成さん

長浜市西黒田地区にあるビニールハウス。ハウスの中では、キレイに整えられた蔓に生き生きとした緑色の葉。その間にキュウリがトゲをピンと立てて元気に成長している。

ミヤベアグリックファームのキュウリ
真っ直ぐに育っているキュウリ

夫婦で就農して7年目。はじける笑顔でキュウリ栽培に取り組むミヤベアグリックファームの宮部広成さんをご紹介します。

【きっかけ】
先輩から、農業を手伝わなかいかと誘われて

ミヤベアグリックファームの宮部さん
ミヤベアグリックファーム 宮部広成さん

高校3年生のときに友達とバンドを組んで音楽を始めました。スカパンクバンドでボーカル担当。芸術系の大学に進学したのも、バンドのロゴやグッズなどトータルデザインをしたかったから。音楽でやっていくんだっていう強い気持ちを持っていました。

大学卒業後もバンド活動を継続。アメリカでのライブツアーに、フルアルバムのリリース。少しずつやりたいことが実現できてきたところで、バンド活動ではよくある話、メンバー間の方向性の違いで、解散することに。

ミヤベアグリックファームの宮部さん

解散後は気持ちが前向きにならず、これから何をしようかなんてあまり考えられずにいました。1年ぐらい経った頃、地元の先輩から、農業を手伝わなかいかと誘われて、お手伝いをすることに。実家は兼業農家だったものの、今まで農業をしたこともなければ、興味もない。そんな気持ちで始めた手伝いが、続けていくうちに、農業って面白いかもっていう気持ちに変化していきました。

毎日手をかけたものが成長していく様子。長い時間をかけて育てたものを収穫する充実感。農家にやりがいを感じ始めた頃、縁があって農協の臨時職員に。農協の仕事では、地域の農家さんを回ることが多く、農家さんの話を聞くにつれ、農業は自分のやりたいことをやりたいようにチャレンジできると、音楽活動との共通点も感じるように。

ミヤベアグリックファームから見える伊吹山
ミヤベアグリックファームから見える伊吹山

そして、農業は自由で面白いっていう気持ちは、自分も農家でやっていこうという想いに繋がりました。

しかし、ちょうど結婚したころで、普通のサラリーマンを望む妻は大反対。でも一度やると決めたら一直線なタイプ。なんとか妻の了解も取り付け、農家として独立する前に、もう一度、以前お世話になった先輩のところで働きながら勉強することに。

この地域は稲作がメインですが、自分はできれば野菜農家をやりたいと思っていました。その気持ちを先輩が汲んでくれて、米作りだけでなく野菜作りの勉強も。

なにより一番考えたことは、農家として何を作っていくかということ。他の農家さんから話を聞いたり、他の野菜と比較したりして、長浜市内に生産者が少なく、利益率の高いキュウリの栽培することに決めました。

ミヤベアグリックファームのロゴ
かわいいロゴは宮部さんのデザイン

そして2年後、2014年にキュウリ農家として独立。私だけでなく、妻も一緒に就農。「ミヤベアグリックファーム」を設立ました。

場所は実家の田んぼ。田んぼを畑に転換してビニールハウスを4棟建てました。ビニールハウスは、材料費だけでも高額。人件費を節約して、自分で建てることに。大きさと位置を決めて、アーチを立てて、ビニールを貼る。手間はかかるけれど、自作するとメンテナンスもしやすい。そして何と言っても出来上がったときの達成感は格別でした。

伊吹山から流れる雪解け水はミネラル豊富

作業の効率化のため、井戸も掘りました。伊吹山から流れる雪解け水はミネラル豊富。その水をたっぷり与えてキュウリを育てています。

【現在の状況】
収量をアップさせるための土壌改良に取り組んでいます。

独立から7年目。少しずつ収量も増えてきました。

現在は、露地栽培のキュウリが出回る時期をずらして、3月中旬に定植して6月末まで収穫、8月上旬に定植して12月中旬まで収穫するという栽培スケジュールです。

ミヤベアグリックファームの宮部さん

キュウリ栽培の一番の苦労は、なんと言っても労働時間の長さ。成長が早いので気が抜けません。利益率の高さからキュウリを選んだのはいいけれど、労働時間は計算に入れていませんでした。

夏は朝4時から収穫が始まり、袋詰めして出荷、その後は栽培管理と日が暮れるまで作業が続きます。収穫期には休みはありません。

子供と遊ぶ時間を作るのも一苦労。少しでも一緒にいられるように作業部屋の前にブランコを作りました。最初は喜んで遊んでくれていたのに、今はちょっと飽き気味。それでも、子供の遊ぶ姿や声を聞きながら妻と一緒に仕事ができることは楽しいです。

ミヤベアグリックファームの宮部さん

農家になることにあれだけ反対していた妻も今では、「こうした方がいいんじゃない?」って提案したり、「コレをして!」って指示したりと、すっかり農家が板についています。

今は土づくりの大切さを実感していて、収量をアップさせるための土壌改良に取り組んでいます。圃場はもともと田んぼだったので、粘土質の土。その土にどんな肥料を与えればいいか、程よく水持ちがして、通気性がある土壌にするにはどうすればいいか、一年一年、改善を加えながら、取り組んでいます。

ミヤベアグリックファームのハウス

収量をアップさせるためには、土壌改良だけではなく栽培技術も必要。伸びた蔓をどう整えていくか、病害虫の防除、摘果や摘花、追肥、成長の早いキュウリは何をするのもタイミングが大切。ちょっとでもずれると収量に関わってしまいます。そのため、もっともっと技術力を上げなければと思っています。

ミヤベアグリックファームの金太郎キュウリ
「金太郎キュウリ」ミネラル豊富な伊吹の地下水育ち。

収穫したキュウリは「金太郎キュウリ」の名前で販売。道の駅などの直売所やJA、そして最近、地域のスーパーでも取引が始まりました。

「金太郎キュウリ」という名前は、西黒田地区の金太郎伝説から。キュウリを食べた人が金太郎のように元気いっぱいになるように。そんな想いを込めました。

【今後のビジョン】
「金太郎キュウリ」のブランド化を目指す

収量をアップさせることが当面の目標です。今の栽培面積から計算すると、今の倍は収穫できるはず。キュウリ農家として、まだまだ大きな可能性があると感じています。

そして、SNSなどで情報発信にも力を入れ、「金太郎キュウリ」のブランド化を目指していきます。まずは、長浜でキュウリと言えば「金太郎キュウリ」と言われるように。そして、湖北の「金太郎キュウリ」、滋賀の「金太郎キュウリ」と成長できればと思います。

ミヤベアグリックファームの宮部さん

金太郎キュウリと名付けたのは、金太郎のように元気にという想いと、もうひとつ別の想いがあります。それは、消費者に地域を感じてほしいという想い。西黒田という地域で、伊吹山の雪解け水で育ったキュウリ。伊吹山や広がる田畑、そんな風景を感じてもらえれば嬉しいです。

ミヤベアグリックファームへのお問い合わせはこちら

社名 / 屋号 ミヤベアグリックファーム
住所 滋賀県長浜市常喜町字西石山1029
連絡先 TEL:090-8756-0060
URL ミヤベアグリックファーム
Facebook
Instagram

創業支援のお問い合わせはこちら

長浜バイオインキュベーションセンター

一般社団法人
バイオビジネス創出研究会

〒526-0829
滋賀県長浜市田村町1281-8
長浜バイオインキュベーションセンター内

TEL:0749-65-8808
定休日:土日・祝日お休み