ナンダカナガハマアタラシイ〜長浜でチャレンジする人へインタビュー〜

インタビュー

  • 2019.11.14
  • 飲食・店舗販売

琵琶湖に浮かぶ神秘の島「竹生島」でカフェを営む

cafe & shop ここや 馬淵 泰さん

神が住む島と呼ばれる竹生島。日本三大弁天のひとつに数えられる宝厳寺や都久夫須麻神社があり、パワースポットとしても人気が高く、多くの観光客が訪れている。竹生島へのアクセスは船のみ。長浜港から出発する船に乗り込み竹生島に降り立つと、この島の荘厳な美しさに身が引き締まる気がする。そんな神秘の島、竹生島でカフェをオープンした馬淵 泰さんをご紹介します。

竹生島
琵琶湖に浮かぶ「竹生島」

【起業のきっかけ】
竹生島に空き店舗があるという情報を聞いたことで興味が湧きました。

サラリーマンをしていた58歳の頃、仕事に少し行き詰まりを感じてしまい、モチベーションが上がらなくなってしまいました。何か違う仕事ができないかと色んな方に相談していたところ、竹生島に空き店舗があるという情報を聞き、面白いなと興味が湧きました。

竹生島でカフェを営まれる「ここや」の馬淵 泰さん
竹生島でカフェを営まれる「ここや」の馬淵 泰さん

竹生島は長浜市の旧びわ町に属する島で、生まれも育ちもびわ町の私にはとても身近な存在です。しかし竹生島に行くには、長浜港、今津港、彦根港のいずれかから出発する船に乗船するしかなく、さらに冬季はその便数がぐっと少なくなります。

商売が成り立つのかと不安もありましたが、商工会等に相談していく中で、どのようなお店にするかというイメージが出来上がってきました。

竹生島の宝厳寺
竹生島の宝厳寺

竹生島を訪れる観光客は、まず宝厳寺と都久夫須麻神社に参拝します。ひと通り島をまわると、帰る船便の時間まで少し休憩する時間があります。

その30分ほどの短い時間にサクッと利用しやすいお店。飲み物と軽食を提供するカフェをやりたいという気持ちが固まるまでには、そう時間はかかりませんでした。

竹生島の宝厳寺

仕事を辞めて商売をする。それを実現するには家族の協力が不可欠です。妻は私の気持ちを尊重し、自分も仕事を辞めて手伝うと言ってくれました。

子供たちは、驚きはしたものの、休みの日には手伝いをしてくれることに。そうなると話は一気に加速し、仕事を辞めたのが2017年6月。10月からは店舗内装工事をスタート。

竹生島でカフェを営まれる「ここや」の馬淵 泰さん

竹生島には船でしか行けません。それは工事業者さんも同じこと。内装工事は、まず、私の船に資材を積み込み、工事業者さんと一緒に竹生島に向かうことから始まります。

もともと釣りが好きで、趣味が高じて船舶免許を取って、友人と共同で船を持っていたことが、こんなに役立つ日が来るなんて思っていませんでした。

竹生島のカフェ「ここや」の外観
竹生島のカフェ「ここや」

また、島には電気が通っていないので、発電機と燃料も自前で用意。一般的な工事に比べ不自由な環境であることに加えて、天候により船を出せない日もあり、工期が少し延びたり、費用も試算していたよりも掛かってしまったりと、自分の思い通りには進まないことばかり。

その間には、商工会からの紹介で、ながはま・こほく創業塾を受講。税務会計など起業に必要な基本的なことを学び、ソフト面の準備も進めました。

竹生島のカフェ「ここや」の内観
店内は落ち着いた雰囲気

そして、家族や友人、工事関係者、皆さんの協力があって、11月中旬にプレオープンを迎えることができました。

お店の名前は、「cafe & shop ここや」。わかりやすくて、覚えやすい名前にしました。

竹生島のカフェ「ここや」の外観
「ここや」のロゴマーク

ロゴマークには、シンプルにショップ名と竹生島をイメージした波線、そして「天」の刻印を入れています。ロゴを作る時に、たまたま宝厳寺を参拝し、そのとき頭に浮かんだのが「天」の字でした。

宝厳寺と都久夫須麻神社の御本尊は弁天様ということもあり、ご縁を感じて、「天」の字を刻印することにしました。紺色の背景と白色の文字に、朱色の刻印がポイント。シンプルで、とても気に入っています。

【現在の状況】
竹生島の自然の中で、毎日仕事ができることがとても気持ちいい。

朝8時30分に船に乗り、その日分の食材や燃料を積み竹生島へ出発します。出港から30分ほどで竹生島に到着して開店準備。自前の発電機を起動させて、冷蔵庫やエアコンなどの電気製品のスイッチを入れていく。

観光客を乗せた船が到着し始める竹生島

準備が整った頃、観光客を乗せた船が到着し始め、竹生島で働く人たちと店先で「おはよう」と挨拶を交わす。これが1日の始まりです。到着する船の接岸の手伝いも大事な仕事のひとつ。船音が聞こえると船着場に急ぎます。

お店では、コーヒーや紅茶、ジュースなどの飲み物と、食べ物は「近江牛まん」と「焼き芋」、「モナカアイス」を中心に提供。

最近はパワースポットとしても人気なので、若い観光客の方も増えました。しかし、増えたと言っても、竹生島を訪れる方の半数以上はシニア層です。おしゃれなスイーツよりも、シニア層にも受け入れてもらえるものをと思ってセレクトしました。

シルクスイートという品種のさつま芋をW熟成させた焼き芋

焼き芋は、滋賀県湖南市の「へんないも屋」のもの。シルクスイートという品種のさつま芋をW熟成させた焼き芋で、さつま芋の自然な甘さと、とろける食感がとても美味しく、やみつきになります。

ほうじ茶ラテ

ドリンクは、コーヒーやほうじ茶ラテに加えて、カプチーノ、宇治抹茶ラテ、チョコチーノにオリジナルキャラクターをプリントしたものをサプライズドリンクとして提供しています。外国人観光客にも人気で大変喜んでいただいています。

手拭いはタペストリーにして店内のインテリアにも活用

雑貨も少し扱っていて、滋賀県ならではの文房具のほかに手拭いも販売しています。手拭いはタペストリーにして店内のインテリアにも活用。お店の雰囲気作りに一役買ってくれています。都久夫須麻神社の祭神の一つが龍神様なので、龍の絵柄が人気です。

毎月参拝のため竹生島を訪れる方もいて、リピーターのお客様も増えて来ました。大変有り難いです。

竹生島のカフェ「ここや」

はじめての接客業ですが、お客様と交流したり、お店で扱う商品を考えたり、毎日楽しくやっています。そして、なんと言っても、竹生島のこの自然の中で、毎日仕事ができることがとても気持ちいい。

緑豊かな樹木に囲まれた竹生島。そこから見渡すと琵琶湖が一面に広がる。電気が通っていないなど不自由なところもありますが、そこも含めてこの場所がとても好きです。

【今後のビジョン】
竹生島の良さを知ってもらえるようにSNSなどで情報を発信していきたい

竹生島のカフェ「ここや」

おみやげやメニューを増やしたいと言う思いはあるのですが、電気容量に制限があることと、どうしてもお客様がお越しになる時間帯が重なってしまうので、あまり手の込んだものを提供できないことが悩ましいところです。展示会などで情報収集して、当店でも扱いやすく、お客様に喜んでいただける商品を考えていきたいと思っています。

私がこの店をオープンして、竹生島にお店が3軒になりました。しかし、今は2軒。寺や神社、自然だけでなく、お土産を買ったり、ちょっと一服したりできるお店が充実している方が、もっと竹生島を楽しんでもらえます。

竹生島でカフェを営まれる「ここや」の馬淵 泰さん

そのために私ができることは、より良い店作り。これからもお客様とのご縁を大切にして、竹生島の良さをもっと多くの人に知ってもらえるようにSNSなどでいろんな情報を発信していきたいと思います。

cafe & shop ここや 馬淵さんへのお問い合わせはこちら

社名 / 屋号 cafe & shop ここや
住所 〒526-0124 長浜市早崎町竹生島1666番地
営業時間 9:30〜16:00
(定期船の運航状況によって変わります。)
定休日 不定休
URL cafe & shop ここや
Instagram:cocoya0211

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