ナンダカナガハマアタラシイ〜長浜でチャレンジする人へインタビュー〜

インタビュー

MATCH Leather Works
  • 2018.03.31
  • 専門サービス

湖北の風習を新しいカタチ
で残したい〜長濱レザーの誕生〜

MATCH Leather Works 町本卓也

湖北の家屋で使われてきたべんがらを皮革に塗り、独自の感覚で革小物を1つ1つ手作業で作り上げる「長濱レザー」の町本卓也さんのご紹介です。

【起業のきっかけ】
自分らしく働きたいという意気込みが何よりも強かった

MATCH Leather Works 町本卓也さん
MATCH Leather Works 町本卓也さん

僕は、お芝居の仕事に関わりたく地元を離れましたが、お芝居で生きていくことの難しさを知り、その後様々な仕事を経験してきました。日々、日常を過ごす中で、その地に残り働き続ける意味を見出せなくなり、地元に帰る決意をしました。

しかし、長浜に帰ってからどこかの会社に就職をするという選択肢は正直ありませんでした。なかなか社会に馴染みにくい性格もあり、自分らしく働きたい!そんな想いもあり、独立するという意気込みが強かったです。

そんな中で、たまたま行った妻の実家が革を使ったものづくりをしており、自分でもやってみたいと心惹かれたことがきっかけとなって、革小物を作り始めました。

MATCH Leather Worksの革製品

もともと、手先は器用だったこともあり、独学で革細工を始めることにしました。インターネットや本を活用しながらたくさんの革小物を製作していき、趣味の延長でも作家で終わるのではなく、職人になろうと日々精進中です。

僕は、長浜でも北に位置する昔ながらの風情を残した集落に住んでいます。自分の生まれた土地で、次世代に繋ぐ何かを残していきたいという純粋な想いがあり、地域の新たな特産品になるようなモノが出来ないかと考えるようになりました。

暮らしの中で気付いた地域の家屋の習性に「べんがら塗り」があります。自分の住む集落では、ほとんどが「べんがら」塗りの家屋です。滋賀県湖北・湖東地域には昔から家屋にべんがらを塗る習性があることに興味を持ちました。べんがらについて調べると、古来、寺社仏閣などに使用され、木の保護剤として抜群の耐候性に優れた粉末顔料であるということが分かりました。

皮革にべんがらと革の保護剤になる柿渋を塗った「長濱レザー」
時間をかけ何度もべんがらを塗り重ねた『長濱レザー』

現在は、長浜市内も建物の洋風化も進み、また手間がかかるべんがら塗りは減少しています。そんな地域の風習を残せないかと考えて出来上がったのが、皮革にべんがらと革の保護剤になる柿渋を塗った『長濱レザー』です。

べんがらを皮革に塗ることで、水に強く汚れにくくなり、また防カビ効果も生まれます。また、天然皮革では避けられないキズや血筋といった凹凸も、べんがらを塗ることでその革の持ち味、オンリーワンの個性に変化します。

手縫いにこだわり、一つ一つ端処理まで丁寧に磨き上げます
コバを丁寧に磨いておく

製品は手縫いにこだわり、一つ一つ端処理まで丁寧に磨き上げることを心がけて製作しています。手間をかけるからこそ、そこに価値が生まれ、他の商品との違いになります。

革を無駄なく使うことを大切にしています
作業に没頭すると夜中になっていることも

天然皮革を使って製品を作るということは、生き物の命を使わせてもらっているということです。ご飯をいただくのと一緒で「いただきます」という気持ちで、革を無駄なく使うことを大切にしています。

大量生産はできませんが、べんがらの塗りこみから、裁断、縫製、仕上げまでの一つ一つの工程を手作業で行うことで、個性が光る長濱レザーの革小物が生まれます。

【現在の活動状況】
クラウドファンディングに挑戦し、工房兼ギャラリーをつくります

現在、長浜市内の中心市街地に、工房兼ギャラリーを設けたいとの想いから、クラウドファンディングに挑戦しています。建物と土地は使えるようになっていますが、その建物が古く、改修に費用もかかるため、挑戦することにしました。しかし、クラウドファンディングといっても、サービスの種類が多く、最初は何から始めていいのか分かりませんでした。

クラウドファンディングに挑戦

たまたま、地元の銀行でクラウドファンディングサービスの紹介をしていることを知り、すぐに飛び込み相談しました。担当の方が説明してくださった中から合うサービスを選び、現在「Makuake」にてクラウドファンディングに挑戦中です。

この工房兼ギャラリーは、地域の方々にもなんとなく集まってもらえるような場所にもしたいと思っています。2階には、人が集えるスペースを設け、いつも賑やかな活気のある工房を作りたいです。地域の人も観光で来られた人も、様々な人の集まる場所が、この工房兼ギャラリーであるようにしていきたいです。

町本卓也さん

また、販路を広げるためにも対面販売の予定をたくさん入れています。クラフト市やマルシェに出店することで、お客様に直接『長濱レザー』のストーリーをお話し、その良さを知っていただいた上で、購入してもらえるということは本当に嬉しいです。もともと営業職も経験しているので、その経験を生かしながら、長濱レザーの魅力を伝えています。

名刺入れ「Tsutsumu」
クラウドファンディングに出品中の名刺入れ「Tsutsumu」

出来れば、この長濱レザーを日本中の皆さんに知っていただけるようにと、機会があれば全国各地のクラフト市やマルシェに積極的に出店して、直接、販売をしていきたいです。

【創業塾を受けて】
家族に相談するのと、専門的な知識を持っている方に相談するのでは、気持ちが全然違います。

長浜市では、経営について学べる創業塾を開催していることを知り、受講し、基本的な経営の知識を学びました。

また、より詳しく専門家からのアドバイスを受けたいと思い、インキュベーションセンターの存在を創業塾でも紹介されていたため、直接相談に伺ったところ、すぐに担当マネージャーが親身に話を聞いてくれました。

アンテナショップの機会もあるということなので、出店させていただきたい

仕事の悩みを家族に相談するのと、専門的な知識を持っている方に相談するのでは、気持ちが全然違います。分からないことを自身で抱えるより外に吐き出すことで、客観的にまた自分に落とし込めます。色々な視野を持ちながら進めていけるように、今後もアドバイスを受けながら事業展開していきたいです。

またアンテナショップの機会もあるということなので、出店させていただきたいと考えています。

【今後のビジョン】
長濱レザーを通じて、べんがら塗りの風習を残していきたい

まずは、地域の方や観光客の方に来てもらえるような工房兼ギャラリーを完成させること。まだまだ地元の方々にも、この長濱レザーの存在が認知されていないので、もっと知ってもらえるように努力していきます。地域の特産品になるまでには時間がかかりますが、自分のできることから一歩ずつ取り組み、地元の方々に認められる長濱レザーへと成長させたいです。

べんがら塗りの風習を残していきたいと強い想いの町本さん

また、長浜だけでなく全国に販路を開拓し、百貨店などにも卸すことができたらと考えています。全国に販路を広げていくと、べんがらとは何かというところからスタートしなければなりません。

べんがらを知らない方々にべんがらを知っていただき、一人でも多くの方にその魅力を感じてもらい、自分でも使いたいと思っていただきたいです。長濱レザーをきっかけにべんがらを知っていただき、べんがら塗りの家屋が全国的に広がるようになれば嬉しいです。

この地域からべんがら塗りの家屋が無くなってほしくない、この風習を残していきたいとの強い想いがあるので、長濱レザーがべんがら家屋の再生に少しでも繋がってくれればと思っています。

長濱レザーが誕生するまでには、たくさんのストーリーがありました。そのストーリーをお客様に伝えられるように、もっと対面販売をできる機会を増やしていきたいです。実際に手に取ってもらい、その作品を褒めていただけると、とても幸せな気持ちになります。

長濱レザーの製品は実用品でもあり、お客様の目線に立って使いやすいように仕上げているので、その使い勝手の良さが伝わった時は本当に嬉しいです。手間をかけた一つ一つの長濱レザーがお客様にとって自慢できるものであるように、今後も終着点を決めず常に進化を遂げられる職人でありたいです。

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